【量子コンピュータ】現代のコンピュータをはるかに凌ぐ

読書

こんばんは。あいてぃ~です。

突然ですが、現代のインターネットにおける暗号化技術にはRSA暗号というものが利用されています。莫大な計算時間現代のコンピュータでも解読すること自体は可能なのですが、かかる時間は最新のスーパーコンピュータをもってしても1億年以上かかるとされています。その為安全である暗号として利用されているのですが、量子コンピュータはRSA暗号を現実的な時間で解読できてしまうほど優れた性能があるとされています。

そんな量子コンピュータについてわかりやすく解説された本がこちら、BLUE BACKSが出版する「量子コンピュータ」。その仕組みから世の中に与えうる影響まで、量子コンピュータを隅々まで解説したこの本を紹介します。

講談社 量子コンピュータ 竹内繁樹

「重ね合わせ状態」が可能にする、全く新しい計算の仕組みによって、現在のスーパーコンピュータをはるかに凌ぐ力を発揮する量子コンピュータ。その基礎と、実現に向けた試みを平易に解説。

講談社 量子コンピュータ 表紙裏面より引用・要約

量子コンピュータとは

簡単な解説

量子コンピュータについてまったく知らない方のために、私のほうからさらに簡単に解説します。

一文でまとめるならば、量子コンピュータとは圧倒的計算力をもつまったく新しいコンピュータのこと、です。

一般的なコンピュータとは異なり、量子力学を用いた量子コンピュータは単に計算動作が速いわけではなく、並列計算に優れたものであることに注意しましょう。例として、単に1+1の計算をするのみであれば現代のコンピュータのほうが速いですが、データ検索や因数分解といった並列計算が応用できるものは圧倒的な計算力を誇るということです。

本書の構成

本書は現代のコンピュータができることのおさらいから始まります。量子コンピュータとの比較と量子計算について簡単に解説された第一章から始まり、量子コンピュータの名前の由来である量子力学について解説。これにより読者は量子コンピュータについてざっくり理解したのち、そもそも量子力学とは何かについて触れることで量子コンピュータの実態を流れに乗るようにして理解することができます。

量子コンピュータとその仕組みを支える量子について理解した読者はその後いよいよ、量子コンピュータの仕組みと得意な分野についてより専門的に踏み込んだ章を読むことになります。ここでは計算中に量子コンピュータ内で何が起きているのか、量子アルゴリズムについて具体的な例が挙げられていくのですが、正直ここの章は難しいと思います。私は3周ほど繰り返し読みようやくすらすら読めるようになりましたので、わからないと感じた方はここは一度サクサク読み進めていくことをお勧めします。

その後、量子コンピュータが直面している実現の難しさとその挑戦過程が複数まとめられ、最後に量子コンピュータが与える社会への影響や量子を用いた新たな暗号について触れられた章と続きます。本書を執筆された竹内さんは北海道大学にて光の粒・光子を用いた量子コンピュータ実現をしており、そちらについて解説されている6.2章は特に注目でしょう。

おすすめの読み方

私が考えるおすすめの読み進め方についてですが、まず読む前に自身で量子コンピュータについて軽く勉強するのが良いでしょう。本書でももちろんわかりやすく解説されているのですが、テレビ等でも量子コンピュータは取り扱われており、Youtubeなどで検索をかけることで映像によるより直感的な理解が進むと感じます。

その後本書を開くのですが、上にも記載した通り中間の量子コンピュータの仕組みを専門的に解説した章と量子アルゴリズムについて解説した章は正直読み進めることは難しいです。なので一度飛ばして最後の章である量子コンピュータと社会について暗号を絡めて解説した章を読んでいただくか、分からなくとも細かい箇所を飛ばしで行くことをおすすめします。

本書の構成は第一章から最終章にかけて真っすぐつながっており、真っすぐ読み進めることで次章の理解につながっていきますが、私はそれで本書の中間部分でいったん挫折してしまいまして、きっと興味本位で本書を手に取っているであろう方々に私と同じような挫折をしてほしくないため、本書の読み方として上記の方法を提案します。

感想等

感想

繰り返しとなりますが、本書は量子コンピュータについて細かくかつ分かりやすく解説されています。

その解説は単にわかりやすいだけでなく、著者の願いである、「わかった気になる」のではなくより堅い手ごたえを持った「わかる」を実現するために、量子コンピュータを支える量子力学やその作りについてを深く掘り下げられています。また、幼少期BLUE BACKSを読まれていた経験もあり、読者側であった経験をもとにしたより分かりやすい解説が実現していると感じました。

また、量子アルゴリズムという量子コンピュータで扱う計算手法の取り上げを通じて、量子コンピュータが実際に利用される未来をより強く想像させてくれるような、ワクワクさせてくれる一冊でした。

まとめ

まとめです。

「量子コンピュータ」は、現代のコンピュータとの比較や量子力学の解説を通じたその仕組みやアルゴリズムの解説、その実現や社会に与える影響など、量子コンピュータとそれを取り巻く世界についてわかりやすく解説されています。

その構成は流れる川のように滑らかなものとなっており、前章の理解が次章の理解を助ける仕組みとなっていることから連続的に読むことを想定されていると感じる一方、量子力学の解説や量子コンピュータの仕組みはやはり難しいものである為、サクサク読み進めてしまう方法をお勧めしました。

第1刷は2005年2月なのですが、2020年には第12刷されており、分かりやすい内容の通り本書がロングセラーとして様々な方に読まれているであろうことがうかがえます。

量子コンピュータを通じてより幅広い知識・理解を得られること間違いなしな本書をぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

以上です。

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